2012/07/01

昨日、フランスの Japonism の肘掛け椅子に、
観世水に杜若(かきつばた)の文様がデザインされた写真を見ましたが、
このデザインがフランス人に依って見事に取り入れられていたことが印象的でした。

以前、鶴岡真弓さんの著書「装飾の美術文明史」を読んで、
痛く納得させられた事柄が多くありましたが、
この影響か、すぐにイギリスの偉大なアーティストである
ウイリアムズ・モリスが思い出されました。
モリスは東洋の植物をデザインに取り入れて成功した人で、
私の大好きなアーティストです。
アールヌーボーとは新しい芸術と言う意味だそうで、
この肘掛け椅子の定かでないデザイナーの心の中に、
モリスのアーツアンドクラフツの精神が宿っているのでは?と想像を広げるのです。

日本の伝統文様を継承し活用する会 提供
明治伊万里並びに万博伊万里の研究会 提供
考察するに、万博などに出品された作品は、
ヨーロッパの人々の好みを突いて、
大振りで華麗です。
Purpose という言葉通りで、
心理学でもあるのでしょう。
 


ヨーロッパで、Japonism(ジャポニズム)が評判になったのは、
1867年のパリ万博からだそうです。
幕府は鍋島藩からは磁器、また他にも屏風、巻物、室内装飾などを出品させたそうです。
また、1873年のウイーンでの万国博覧会にも公式に日本国として参加し、
大いに日本文化を喧伝したそうです。
日本からの装飾品は、その質の高さとオリエンタルなもの、異質なものとして
当時のヨーロッパの人々の興味を引き寄せたそうです。
1900年にパリ万博で「オッペケペ節」で評判をとった川上音二郎と妻の貞奴が、
さらに日本文化の宣伝に貢献したという説もあります。
私は名古屋に教えに行きますが、よく立ち寄る甘味のお店の隣に、
川上音二郎宅があります。
現在では記念館のようになり、訪れる人を迎えてくれるようです。
残念ながらいつも遅い時間なのでまだ見ることはできませんが、
チャンスがあれば見たいものです。
1800後期から現代に亘り、日本がヨーロッパに大きな影響を与えたことは、
誇りとすべきことです。

ペインティングに関わる中で歴史を知り、そして現在を認識することは、
大事な事柄であると、私は捉えています。