2012/07/18

 成願義夫さんは Face Book の日本の伝統文様を継承し活用する会という
 Face ページを運営しておられます。

以下は成願義夫さんが書かれたものです。作品はすべて成願義夫さんのデザインです。


雪輪と菊をアレンジした和柄

こういう表現は、江戸時代の『寛文小袖』などによく見られる柄の特徴で、

『寛文模様』とも呼ばれています。
このように、古典柄には時代背景となる基本の型と様式美があり、
それを継承するのも私達図案家の仕事と思っております。
図案家は、文様の歴史に精通し、またそれを表現する技術を習得することに
長い年月がかかる事を知っていただきたいと思います。
これらの知識も技術もどこの美術系大学でも専門学校でも教えてはくれません。
それだけに私達図案家の仕事がいかに価値がある仕事か知っていただきたいと思います。


鼓をイメージに

レトロな雰囲気を帯のデザインに表現してみました。
モチーフは和楽器の鼓の胴の部分です。
胴の中に、松竹梅を施しています。
私達図案家は基礎知識として日本の伝統芸や和楽器の知識は
一通り持っている必要があります。
そして、それを文様にアレンジする知識と技術とセンスが問われます。
また、帯や着物の柄付けの基本に沿ってデザインする必要があり、
多くの制約の中での表現が要求されます。
絵が上手なだけでは描けないのが和装図案です。

正倉院の文様をアレンジ

このデザインは、正倉院の御物の何かをそのままコピーしたものではなく、
正倉院の御物をはじめとするシルクロードを通じてもたらされた
その時代のエッセンスを抽出しアレンジして描いています。
          皆さんの記憶の片隅にある、飛鳥時代や天平時代のイメージを表現する為には、
図案家には膨大な知識と描く為の技術が必要です。
また、今の時代に相応しいデザインにする為のアレンジ力も重要です。
私達図案家の仕事の奥深さの一端を紹介しました。


鏡文様(銅鏡文様)

銅鏡は、日本においては、弥生時代から古墳時代の遺跡で
多くの銅鏡が発掘されています。
また、鏡は神道の信仰の対象となっていて、日本神話に登場するものとしては、
三種の神器の一つの八咫鏡や日像鏡・日矛鏡などがあり、
鏡を神体として社に祀っていることがあります。
鏡文様として図柄に描かれ始めたのは江戸時代になってからです。
主に慶事柄として用いられ、留袖や花嫁衣装など、
おめでたい柄として今日まで用いられてきました。
このような歴史的背景を踏まえつつ、
現代の柄としてアレンジするのも私達図案家の仕事です。
膨大な歴史と図柄の変遷の知識、
それを表現する技術の両方を学べるところ(大学、専門学校など)は
今の日本にはありません。
私達図案家に弟子入りして直接学ぶしか方法がないのが現状です。
しかし、現状は極端な後継者不足です。
確かな技術と知識を持った図案家が健在なうちに後継者の育成に力を注がなければ
20年後には日本からほとんど図案家は消えてしまうでしょう。
皆様のご理解とご協力をお願いいたします。



成願さんの投稿は、日本の文様を紹介して下さり、
また古典の名品を折りに触れて取り上げて下さるので、 とても勉強になります。

しかし、コメントとして書かれてある言葉は、叫びにも似たものがあり、
私の心は憂います。
ペインティングを知り、何度も異国に足を踏み入れる中で、
日本文化の水準の高さに目を開いたのは、いつのことでしょうか?
知らず知らずでした。

着物の文様の華やかさ、奥ゆかしさに心を惹かれるのは、
私だけではないでしょう。
しかし、生活の西洋化で着物を着る事がなくなりました。
今では成人式や、結婚式の時だけになりつつあります。
残念ながら私など、一人では着る事さえ出来ません。
また、着物は高価なため、なかなか買う事も侭なりません。

時代の流れに逆らう事は出来ませんが、
日本政府は、特に文化庁は、日本の文化の保護や育成のために、
援助をすべきです。

現在の日本国は;貧困;の限りでしょうか?
国家として;豊か;な;成熟した見識;を示すべきです。
こういうときこそ、ベキ、ベキを使います!

成願さんは各方面でご活躍ですが、
核にいる方の心の叫びとして、私は重く受け止めています。
どうにかして継承し、受け継がなくてはなりません。

何か良い智恵はないものでしょうか?


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